ラスベガスのギャンブラーに恋に落ちる。邦題はS.McQueenを連想させるがぴったりはまっている。
彼の勝負強さ、頭の回転がいいとのキャラも納得の鮮やかな手口で大金を手中にexitも華麗。HQにこれは似合う舞台に思えるが、これ迄それほど読
んできてないのが逆に不思議。依存症の生産を回避か?
この作品、彼を信じるヒロインと、ヒロインを悪巧みをする娘じゃないと信じる彼とが、泡沫の夢を見させる街で、真実の相手として着地する楽しいお話。
「日々は小さな選択の積み重ねだ/何かを選択することはすべてギャンブルだよ」「時には目をつぶって運に身をまかせることも必要なんだ/運を信じる強さがあれば、本当に負けてしまうことは絶対ない。必ず負けるのはなにもしないときだけさ」
原作者何歳のときの作品か知らないが、話の筋が小気味良く回り、多めの登場人物がうるさくない。絵柄にベガスっぽいイメージのキンキラやゴテゴテが出てこないので、いかにもなギャンプルの持つ雰囲気がそれほどプンプンしてこないのに、ゴージャスに着飾った大口客の出入りする場だとの説得力があったし、ホテルでの数々の出来事も嘘っぽくなかった。
変身ものはHQのいつものパターンなのだが、この流れでの必要性と此迄とのギャップは、鼻白らむこともなく、その場の事の成り行きをストンと受け止められるシーンだった。
また、クライマックスからの、ヒロインの心境も理解できるし、夢を見た後の、別れの後の、荒んだ日々を少し過ごしてからの、穏やかな世界に戻った感じが良かった。そして、そのときも、まだ私に賭ける気は残っているかと。ただし、このときの服装が、えっ、これですか、余りにボディ露出がー、ということには、他に好ましい服装はあったろう、という気がしてならないが。
兎に角ヒロインが、「ギャンブル」みたいに彼に踏み出す何度かの思い切りが良かったし、それが、結末まで貫かれている。
ギャンブルを扱う作品ながらまるで人生訓のような含蓄を感じるアドバイスが散りばめられ、彼の言葉も、ヒロインの思い切りも、運を信じて、運に身を任せて、切り開かれていく日々がつかませてくれる大きなもの。
運を信じるのなら本当に負けたとは言えない。寧ろ何もしないことが負けであると。
選択というものは常にギャンブルそのもの、といったような、ストーリーの真骨頂が充分伝わった娯楽作品として、私はこれは素直に勧められる。
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