僕が一緒に働く全ての人間に好感を持ってると思うか?これはビジネスなんだ。
ロマンス以外の台詞だし国王フィリップの言葉だが、「プリンセス・レッスン」のほうで見せていた彼の人となりを側面的に肉付けるもので、作品がしゃっきりとした。
宮殿、その内部など、感じがよく出ている。富豪の邸宅、城、セレブ感、ゴージャス感、HQの好きな世界の“らしさ”をキラキラ描ける先生。
ソフィーはアレックスを忘れられず、思いが今も締め付けてきて冷静に接することは無理だとして、その真の理由を出さずに兄フィリップに役目を降りたいと言った訳だが、そこも、そうだろうと思うし、兄の言葉も、一個の社会人として組織の長として当たり前だ。
メイン二人の思いの交錯は、ソフィーの唐突且大胆提案により新たなステージに上がり、単なる化学反応に留まらなかった。悶々とした関係突破という荒療治?が、別の意味での化学反応を引き起こす。
設定のモーガンアイル王国は、国王のお妃教育に8年もかける国である設定だから、その王家の人間ソフィーが、その外の人間に、特にアメリカという国の人間に、どんな想い出を抱いたか、はわかる。
がしかし、だからと言って、そう出る!?
元々求め合っていた二人が再会して、そしてそうするとなれば、間違いなく火が点く。事の成り行きが、どこか予定調和感を漂わせてしまい、ストーリーとしての新鮮さを奪った。ただ、その事のもたらすものこそ計り知れない。決め事をしてからは、その決行前からどれ程二人をそわそわ落ち着きをなくしたか(「珍しいなアレックスが上の空とは」)、アレックスがフィリップに問い質されるコマは、彼がかわいかった。
先行作品では所在無さげだったハンナが、本作では貫禄が出ていて、ヒロインの兄夫妻の一家の幸せも撒き散らしていたのもよい。
ここから追記。
まだ気持ちを残す二人にとって、その事をする、を巡るインパクトは大きい。求め合う気持ちは顔を合わせるほどに募って行き、その高ぶった気持ちをどう鎮めることも出来ず、それでは、やってみましょう、は、流れ的に納得が出来る。
そしてここでそれはただのそれではなく、やはり二人には意味がある、そんなところが、読み直すほどに胸に入って来たので、星をもうひとつ足すことにした。「僕は夢も自由も喜んで手放すよ」の前後は彼の言葉に私も陶酔した。
4.2から4.5へ上げた位の感覚で。
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