秘書とボスのクリスマス:
タイトル通りであって、かつ、もうひとつの意味もそこに込められており、HQには珍しい上手いタイトル付け。
終盤、真相を知る時に結び付けるたまに用いられた小道具(新聞紙)に、どうしても引っ掛かりを覚えてしまって。死
因からして、新聞を手中に出来る状況が一切想像できない。数日のことで、それがどうやって母の手元に?、ならばなぜヒロイン預入の際には手がかりとならなかった? 正体不明な自分、という不安が恋愛にブレーキをかけるストーリーにしては、なんとも消化不良。
そこ関係なくコナーが気に入ってくれても、ヒロインが拘る点だからこそ、読者的に完全消化出来なかったのが残念。HQでないなら、物語の作為といえるかもしれないが。
半年だけの花嫁:
愛なき結婚:
ひかれあうのは理屈ではないから、始まりが許されざる結び付きに思えるヒロインが、そのことから避けるように暮らしても、何年を経ても、結局忘れることはなく、つながりが消えない。
人を愛してしまうのは、何がスイッチか、出会い
という要素しかなくて、安全で問題のない恋を選んでする、ということは出来ない。そんなことが出来たらもうそれはロマンスとは呼べないものであるから、ストーリーは二本とも、どうにもコントロールの効かない気持ちが深い奥底にある。二作共、勝るとも劣らぬ理性無用の気持ちを蓋していた当事者の意志を、現実生活の必要性でこじ開けられ展開が始まる作り。
三作とも、生々しさはそれなりに抑えているが、これまで読んでいるHQの路線からは比較的肉感描写多め。
「半年だけの花嫁」以外はヒロインの方からお願いしているという、肉食的女性で始まるが、それには事情があるのだ、という設定で、コトの顛末を詰んでいくストーリー。
定価では勿体ないだろう。3.5くらいだと思って欲しい。
佐柄先生が担当する作品では、男性が、冷たい感じがする外見と対照的な情の深さを描かれていると、ギャップ萌えも味わえる。
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