家族の人数多めの家庭で弟妹の面倒も厭わず、母親をも頻繁にサポート、家庭内に留まらず、近所に学校に目に入る回り全ての困っている誰かの人助け、このようなことは誰もが出来ることじゃない。力になりたい、と時には人は思うことがあると思うが、いつもいつ
も出来ることじゃない。どこまで入り込んでいいのかでもひるむ。
そうした状況、町田くんの寄り添い方で物語は好転していく。彼は解決策を予め持ってるというのではない。気づいたら放っておけず、そっと彼なりに対処する、そんな、一見普通の(スーパーヒーローにありがちな容姿や能力を備えていない、というのが、これまた安藤先生のキャラ設定の勝利と思う。)男の子の日常を見させてもらう。。。それが自分の心に柔らかい光となって差し込んでくる。
「町田くんの世界」に町田くんが居てくれてよかった、と、当然なのだが何故かそう思う。読んでる自分は、作品中救済されてるみんなのビフォアアフターを見て、心に穏やかさとか、パサついた自分への潤いとか、もらった気がしてくるのだ。こういう漫画、あるだけでそれでいい。
絵は凝っておらず寧ろキッパリくっきり引いてない線が、彼の素朴な優しさ、その生活環境、広く人に愛を分けて来る博愛的な接し方にどこかが通じる感じでしっくり合ってる。
それでいてクラスメートの言葉や動きに違和感もないのが不思議。彼の稀有なキャラが取り立てて浮かず、自然に入り込んでる。
多分、要素として、肯定の姿勢がストーリーに強く響いてるのだと感じている。だから、登場人物は町田くんの言動にホッとするし、トラブっていた人たちが落ち着いて行くし、戸惑いが受け入れに変わる。
彼からの発信の言動に現れる心のやりとりには、各エピソードで当事者達のちょっとした窮地に駆けつけたわざとらしさが無くて、ナイスカバーの作用のほうが爽やかに効いて、幸せが蒔かれている。だから読んだこっちも、どこか嬉しくなってしまう。読んでよかったなぁと、しみじみ。猪原さんも、よかったね。
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