ヒロインの立場になって考えると、彼女が噛みつき小動物になるのは無理もない、お義母様の言う通り。
それでも、何処かで見たような不幸パターンのひとつみたいな展開に、なんとなく期待しぼむ。黒雲垂れ込める館からヒロインを救い出すのも、爽快感不足。
突っかかる二人という関係性から始まり構築していく物語なのだが、どうも私の眼には、余りの彼女の愛嬌の無さに応援気分盛り上がらない。キャラ設定だとしても、かっわいくなぁーい。彼の尊大な言動にカチンと来たにしても、そこは大人になれ、と思うのだが?
ヒロインを追いやった連中の、物語ラストの究極の代償は大きいが、それにしても、あの一家の残りの者達はそのまま?館も戻らない? 後見人がアダムに代わることもないのでしょ? 解雇された使用人達は?撒き散らされた災い全て放置。当方の正義感が収まらない。ヒロインの不幸な装置作りの為だけに安易に配置されたのか、と素直に読めなかった。
そうなると、私の眼にはメイン二人が素敵に見えなくて、HQ世界に酔いきれない。
助けたのに手を払う?彼に対して噛みつくのを見る度、じゃあ勝手にしてれば、全て自分でやれば?と、私は鼻についた。
如何なる背景でも、彼にそこまで強い返ししなくていいんじゃないの?と思ってしまう。ウォルターに「肘鉄」ならわかる。アダムは、部下に頼まれた、ただそれだけで誠実に約束を守ろうと現れた驚異の責任感の塊。口の聞き方も態度も悪いが、ヒロインを付け狙うウォルターとは違うのに。。。日本陸軍と比較すれば天使だろう。
第一当初は元家庭教師の提案を退けて、ただ兄の上司だったというだけで頼れない、と、ヒロインらしい自立心を見せながら、今度は、遅かったと怒るとは。ついに来なかったんじゃなく来てくれたんじゃない、ワザワザ。
もっともこの作品、意地を張ってばかりから変わる、その流れのためには、前半にはドンパチは必要悪なのか。
女を見る目の無い彼の目を覚まさせたい、道を踏み誤りそうなところを何とか踏みとどまらせたい、その気持ちはよく理解できる。だが、この話は彼の危うさと背中合わせにヒロインの危なっかしさも。
こういう絵に描いたような危うさを見せつけられるパターンは、私は余り乗って読むことができない。
逆境にあって毅然としていたヒロインに美しさを見出だすお義母様が、ストーリーを回している。
誤字はやめて欲しい。
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