もともと週刊大衆に連載されていたものを双葉社より文庫として刊行した長編である。仕事とともに妻をも別れて失いそうな悲哀を負った男と、その伯父が繰り広げる女性遍歴の物語。コミカルタッチなのはまだいい。「濡れて、あっはん」という雑誌連載時の表題か
らわかるように作品を貫く骨子というかテーマが見いだせないこともまぁまだ良い。だけど伯父さんの局部描写がちょくちょく出てくるたび、現実以上に冷めた世界に引き込まれそうになるのは参ってしまう。これは伯父さんの登場シーンは飛ばして、ひとつひとつの性描写の文章を楽しむに如くなし。あ、いちおう最後は主人公が生きる活力を取り戻すというハッピーエンドになっとる。
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