国に棄(す)てられた人々の過酷な運命に、
驚き、涙し、憤った。
戦後70年の今、
この悲劇に光が当てられた意義は、
はかりしれなく大きい。――半藤一利(作家)
1945年8月9日ソ連参戦。ソ連軍の侵攻から逃れるために、満洲国首都・新京から朝鮮北部の郭山(かくさん)という小さな町に疎開した1094名の日本人。足りない食糧。厳しい冬。人々は飢えと寒さ、伝染病に苦しみ、子どもたちは次々と命を落とす。朝鮮北部を掌握したソ連軍は日本人の移動を禁止し、本国・日本からも救いの手は差し伸べられない。「このままでは死を待つだけ。なんとしても日本へ」――ついに決死の脱出行が始まった。
本土終戦の日から始まった地獄のような難民生活。
なぜ彼らの存在は黙殺されてきたのか?
「戦後史の闇」に光を当てた凄絶なノンフィクション。