このレビューはネタバレを含みます▼
とても読みやすい文章で、さくさく読めます。歪んだ家族の人それぞれの心情が丁寧に書かれていて、引き込まれます。いくら母から冷たくされても前向きに生きてきた陽子の心が生きることを肯定的に捉えることができなくなるところ、氷点。『続・氷点』も読んだけど、私は『氷点』の方が印象的でした。そして徹が苦悩しつつも本当に誠実で正しくて優しい人。キリスト教の視点ももちろんある作品ですが、そんな前面に出ている感じではなく、人が迷い、もがき苦しむ葛藤、そして人がどう生きることを選ぶのか、丁寧に綴られている作品だと思います。昔ドラマ化されたりもしてるけど、これは小説で読んだ方が絶対に良いと言える作品。