リリアンがフランシスにした告白の衝撃は、ただでさえ緊張に満ちたふたりの仲をさらに大きく揺さぶった。リリアンの夫レナードに隠れての、先の見えない関係をいつまで続けられるのか。彼女たちをとりまくすべてがままならぬ状況で、ある夜、ついに悲劇は起きる。殺人という最悪の形で……。露見を恐れて嘘を重ねたことで、“犯人”は警察の捜査に怯えながら暮らすことに。ところが、事態は予想だにしなかった意外な展開を迎える……。1920年代を舞台に、時代に翻弄される女たちの姿を殺人事件の行方を通して描く、ウォーターズ文学の極み。『半身』『荊の城』の著者、瞠目の傑作ミステリ!/解説=大矢博子