◆待望の第二句集!
心は、以前にも以後にもうつる。それは感情に限らず、見える、聞こえる、匂うといった感覚に関しても。ときに心は、未来の出来事を先に見ることでさえ、ある。─今のこの出来事は、いつか遠い昔にも見えていたし、これからずっと先にも、また新たに聞こえ続けるだろう─
この句集はいわば、心の編年体による。
(あとがきより)
風船になつてゐる間も目をつむり
人参を並べておけば分かるなり
まなうらが赤くて鳥の巣の見ゆる
こほろぎの声と写真にをさまりぬ
上着きてゐても木の葉のあふれ出す
南から骨のひらいた傘が来る
ひあたりの枯れて車をあやつる手
うすぐらいバスは鯨を食べにゆく