大学を卒業してすぐにコンサルタントと結婚して優雅な専業主婦生活を謳歌しているヒロイン。それが、夫の仕事が多忙になり夜の営みが遠のいた途端、不満をかこつようになる。社会人経験がないとこうなるものか。やがて友人と訪れた名古屋で、ヒロインは溌剌と
したミドルの内科医と出逢い、ホテルの部屋をともにする。だが、作中では最後の一線、つまり挿入行為には及ばずに終わる。ヒロインはそのことを理由に、これは不倫ではないと夫、というより自らに言い聞かせる。昔から世間一般、どこをもって一線とするかは色々言われてきた。本作のように牲器の結合に至らなければよし、とか、コンド―ムを装着して直に触れ合わなければセーフ、とか。本作に戻ると、やなぎやこはその設定にリアリティがあっていいかなと。別の異性との運命的な出会いを心の底で求めている既婚男女にとって、うんうんと頷きながら読めるのではないだろうか。
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