このレビューはネタバレを含みます▼
初めの誘拐の描写から、警察、記者の視点、そこから誘拐された子の高校生時代、そのとき出会った女の子との関わり、取材を続けて見えてくる空白の3年間の様相。そして最後に明らかになる空白の3年間。別れのシーンは涙が止まらなかった。子を祖父母宅に戻した後の夫婦の描写が、なんかいたたまれなくなった。読後、消えたお父さん、高校の卒業式に来なかったリョウ、祖父母と共に卒業式に姿を消したこと、お母さんとどのように再会したのか、家族写真はどういう流れでリョウの元に渡ったのか、など、少し謎が残ったところはモヤモヤしてる。読者の想像に任せるという終わり方なのかなとも思うけど、「存在」と向き合ったお父さんが自らの存在とどう向き合ったのか、もう少し描いて欲しかった。
【追記】一晩寝て整理して、自分の中で一つの落とし所に辿り着いた。貴彦は一時的には由美と離れたかもしれないが、そう遠くなく一緒になったのではないか。そして2人で陰ながら生きてきたのではないか。そしてリョウの祖父母もしくはリョウと連絡を取ったのではないか、サクタロウも数年後には2人の行方を把握したのではないか。そして、卒業式後には共に、もしくは近くで、暮らしていたのではないか。家族の絵は、貴彦から引き継がれ、貴彦はひっそりと他界したのではないか。正解はわからないけれど、私の中ではそのストーリーが今のところの落とし所となった。
この作品に限らないが、最近の作品は最後を読者の解釈に委ねるといった終わり方をしているものが少なくない気がする。それが悪いわけでもないが、読者としては、作者がこの物語をどう終着させるか、どう解釈するか、そこを知りたいという心残りも残る。