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村中直人氏は、脳・神経科学などの知見から、叱ることには「効果がない」と語る。叱られると人の脳は「防御モード」に入り、ひとまず危機から逃避するために行動を改める。叱った人はそれを見て、「ほら、やっぱり人は叱らないと変わらない」と思ってしまうのだが、叱られた当人はとりあえずその場の行動を変えただけで、学びや成長を得たわけではないのだ。そして厄介なことに、人間には「よくないことをした人を罰したい」という欲求が、脳のメカニズムとして備わっているため、叱ることで快感を得てしまうのである。では、どうすれば人は成長するのか。本書は臨床心理士・公認心理師で、発達障害、不登校など特別なニーズのある子どもたち、保護者の支援を行ってきた著者が、「叱る」という行為と向き合ってきたさまざまな分野の識者4人と、叱ることと人の学びや成長について語り合った一冊である。1人目は元東京都千代田区立麹町中学校校長で、「宿題廃止」「定期テスト廃止」「固定担任制廃止」などの学校改革を実践した工藤勇一氏。工藤氏は、叱責ではなく問いかけを糸口にして対話をしていく方法」として「1『どうしたの?』 2『きみはこれからどうしたいの?』 3『先生に手助けできることはある?』」の三つの言葉を学校の教員に伝えてきた、と説く。2人目は企業・組織における人材開発・組織開発について研究している立教大学経営学部教授の中原淳氏。部下指導の際に、叱責ではなくフィードバックというアプローチを行うことを提唱している。フィードバックとはまず、相手にとって耳の痛いことであっても率直に伝える「現状通知」を行い、その後に「立て直しの支援」を行うというものである。3人目は元女子バレーボール日本代表の大山加奈氏。日本代表合宿の練習で怒声を浴び続け、心のバランスを崩し、不眠や激しい動悸に苦しみ、ひどいときには目の前が真っ暗になって倒れるまでになったという。「勝つことだけがスポーツの価値ではない、子どもたちには笑顔でスポーツに親しんでほしい」と語る。4人目は、編集者で株式会社コルク代表取締役社長の佐渡島庸平氏。そもそも人を叱らなければならない状況に陥るのを防ぐ「前さばき」について取り上げ、幸福度を上げる「三角形のコミュニーション」について紹介する。単に「叱る」「叱られる」の関係だけではなく、広く人と人とのコミュニケーションにとって大切なことは何かを問う一冊である。
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平均評価: 2.0 1件のレビューをみる
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