クラレンスは気がつけば殿堂入りゲーム『勇者の凱旋』のオープニングに立ち会うNPCの司祭に憑依していた。
現実の自分はいつ死んだのかもわからない。
何故司祭になったのかも……。
ただわかっているのはここがゲームの世界だということ。
目の前には親を亡くしひとりぼっちになってしまった勇者。その勇者を導くのがクラレンスの使命であり、ゲームのクラレンスが亡くなってしまう運命でもあった。
簡単に死ぬのは嫌だったため、魔王討伐を簡単にできるチートモードを勇者「エドワード」に導き手として授けた。自分の運命を握っている勇者なのだから指導にも熱が籠る。
『きみならできるよ』
『私にとってきみは特別な子なんだ』
『きみには私がついてる。安心して』
……もちろん私利私欲のための言葉である。
それなのにある日、縋るような熱の籠もった視線でクラレンスに欲情したと告げられ、エドワードを定期的に性教育のために部屋に呼ぶことになってしまった。
さらには魔王討伐後はなし崩しに体を許してしまった。
一度抱かれてしまうと、それは魔王討伐後の凱旋パレードの今日まで続いた。
いろいろなことが重なりついに限界がきてしまったクラレンスは決意する。
「よし、逃げよう!」
すぐさま荷物をまとめて勇者のパーティから逃げ出したのだった――
果たしてクラレンスの逃亡は成功するのか――!?