誰も知らなかった。
あの日の別れが永遠のものになることを。
「いますぐ荷物をまとめなさい!」
「どうか妹たちをお願いします」
「俺たちはここで玉砕するよ……」
「お前にはいろいろと島のことを教えてもらった。ありがとう」
「今度の疎開は一時的なものです。勝ったらまた戻るのです」
「なんで日本はこんな戦争を始めちゃったのだろう」
1944年7月、硫黄島。
それは一時疎開のはずだった――
散り散りになった島民たちは
なぜ今も故郷に帰れないのか?
ベストセラー『硫黄島上陸』著者が、
この国の暗部を暴く傑作ノンフィクション!
【目次】
プロローグ 村が消えた日
第1章 違憲の島を歩く
第2章 トキ坊の夢
第3章 硫黄島少年記
第4章 密室の議事録
第5章 新生硫黄島
第6章 硫黄島かく戦えり
第7章 祖国は島民を棄てたのか
第8章 2025年の硫黄島
エピローグ 天皇陛下の花