勇者パーティーの一員として魔王討伐を果たし、世界に平和をもたらした聖女フィオナ。大歓声で迎えられた凱旋パレードの日、心底ホッとしたのも束の間、聖騎士と魔導士の熱愛が発覚し、勇者は王女と婚約、斥候は娘と感動の再会と、仲間たちはみんな幸せそう。気づけばフィオナだけがぼっち状態だった。焦るフィオナは決意する──「そうだ、婚活しよう」。
魔王との戦いで聖なる力を使い果たし、神殿を卒業したフィオナは、信頼する侍女イルダに協力してもらい、王都で婚活を始める。けれど相手は、挙動不審な商会の跡取り息子に、ママの評価が絶対のマザコン伯爵、棺桶健康法を実践する健康マニア公爵……と曲者揃い。そんな中、フィオナの心の支えになっているのは、五年前に旅先で出会った騎士レオとの文通だった。「助けが必要な時は、いつでも駆けつけます」と、あたたかい言葉を綴る彼に、「いい報告ができるように、次こそがんばろう」とフィオナは前を向く。そんなある日、レオの手紙を、いつもの鷹ではなく一羽の黄色い小鳥が届けにきた。勝手に “ピイちゃん”と名づけたその鳥は、手紙を運ぶだけでなく、いつもフィオナに寄り添い、勇気をくれて……