リーン伯爵家の令嬢エラティーナは、騎士になるという夢を抱いていた。
しかし試験に合格した途端、父によって辞退させられ、セルディという好ましくない幼馴染との婚約を強制されてしまう。
セルディには恋人が三人もいて、エラティーナと結婚したあとも、関係を続ける気のようだった。
自分を蔑ろにする人たちに見切りをつけ、家出したエラティーナは、冒険者ギルドで凄腕の魔導師ナラールと出会い、「エラティ」と名乗って共に魔物退治の依頼をこなすようになる。
ある日、母が危篤だという兄からの嘘の知らせで実家に戻されたエラティーナは、再びセルディとの結婚を強要される。
これを拒否するため、エラティーナはとっさに「ナラールと結婚している」と嘘をつくが――。
家を捨てた令嬢と、心を閉ざした魔導師。二人の孤独な魂が惹かれ合う、王道シンデレラストーリー。