聖女など要らない。欲しいのは君だ。
戦地での献身的な働きにより『救国の聖女』と呼ばれるようになった子爵令嬢スワニー。だが、その称号を求めて近づく貴族たちに馴染めず、王都での平穏な暮らしにも罪悪感を抱いていた。一方、戦争を勝利に導いた『英雄』マウリツィオは、戦場で出会ったスワニーを忘れられずにいた。戦地で気を失った彼女を魔術で王都へ送り届けた際、無事を確かめるために刻んだ「標」を、なぜか消せずにいたのだ――まるで、彼女を自分に繋ぎとめたいと願うかのように。やがて再会を果たした二人は、戦争の痛みを分かち合いながら心を寄せ合っていく。しかしそんな折、スワニーにある危機が迫り――!?