王国軍に仇なす癒しの聖女を、見殺しにした。
その選択を、どれほど後悔するとも知らずに。
帝国の聖女リュシエンヌ・シャリエは癒しの力を失い、砦に残された。
力の枯渇に怯え、視力さえ女神に捧げた彼女に最後の命令が下される。
それは娼婦となり、王国軍の高官を暗殺すること。
ところが、盲目の元聖女を手に入れたジルヴァルト王国の将軍ダレスはすべての事情を知った上で、何の役にも立たない彼女を気に入り、自らの庇護のもとに置く。
ダレスに身も心も愛され、生まれて初めての幸福に溺れるリュリュ。しかし、帝国の危機に際し、失ったはずの癒しの力が蘇るのを感じてしまい――。
かつて聖女を見捨てた男と、尽くすことしか知らない元聖女が織りなす、罪と愛の物語。