結婚して十年。僕の愛する妻・美沙は、すべてが完璧な女性だった。
ただ一つ、その夜の顔を除いては──。
彼女の底なしの性欲を、僕は深い愛情の証だと信じていた。
毎夜、魂ごと根こそぎ吸い尽くされるような快感に溺れ、身も心も彼女に捧げてきた。
しかし、僕が犯した、たった一度の過ち。
その夜、妻は僕に本当の姿を明かす。
「私はサキュバス。あなたの蜜は、私だけのものよ」
裏切りの代償として始まったのは、罰と祝福が入り混じる官能の儀式。闇に光る真紅の瞳に見つめられ、僕は身も心も作り替えられていく。もう、彼女なしでは生きられない身体に。
これは、愛という名の呪いに蝕まれ、支配される悦びに堕ちていく男の、追憶の日記。
静かな狂気と甘美な絶望が織りなす、追体験型の官能文学。
※ジャスミン書房エピソードは1話完結の短編官能レーベル。
通勤時間や眠る前に読める“濃密で短い官能”をお届けします。