結局、この世界でも私はいらない子なのだとわかって、泣いた――。
家族から不用品扱いされていたニコは、ある日、女子高生と一緒に異世界に召喚された。
鑑定魔法の結果、ニコは聖女である女子高生の“おまけ”だったので、ここでも……と、失望したニコ。
異世界ではローデンヴァルト侯爵家の後見を受けて生活するうち、ニコは彼らの温かさに気づく。特に侯爵の孫であるアロイス様はニコに優しかった。
スマホも与えられず友人もいなかったニコは、聖女の結界修復の旅に同道しているアロイス様が旅先から送ってくれる手紙を楽しみに待つようになった。初めて人と手紙をやり取りをし、自然と彼を特別に思うようになっていった。
だけどニコには、誰かの幸せのために自分が必要とされる自信がなかった。
だって自分は“いらない子”だから……。
これは実の家族にすら不要とされていた少女が、聖女のおまけとして召喚されてしまった異世界で幸せを見つけるまでの短いお話。
特別書き下ろしでは、ニコと聖女が消えた後のそれぞれの家族の様子や、ニコとアロイスの関係といった気になる“その後”を追加。