ヒロインへの仕打ちがてんこ盛り過ぎて、私はちょっと白けた。メイン二人をもう少し視覚的にハッピーなラブモードのコマでも見たかった。
誤解で勝手に怒ってきて傷つける。そんな人を好きになってしまって。ヒロイン、惚れた弱味とばかりに、投げ掛けられ
た謂れのない軽蔑や非難、怒りの混じった失意とに翻弄されながらも、気を強く持っている。
素顔は異性の誰とも深入りできなかった臆病な女の子なのに、それを逆手に氷と形容されることでモデル業界で逞しくサバイバルしてきたギャップ。解って欲しい義兄も曲解。
この「罵り」好きが世の女性読者に一定層いるのだろうか?
でないとこの手の作りの話をこうもHQで見かけるというのが、説明が付かないように思えるのだが。
飛躍前の若き彼を知るヒロインが、自身が窮地に立たされたとき、リッチマンに大化けした彼に金銭的サポートを受ける、という、これもHQの黄金設定である一種のサクセス(アフター)と一部のシンデレラ要素ストーリー。
しかし邪推にも程がある。そして感情的になり激しい言葉を度々衝動的に繰り出すとは、並の賢さではないという天才レベルの人間がやること?、それは相容れないキャラ。
世の中の知力が高いと言われる人間達も感情は濃かったりする為、咄嗟にあらゆる推論もしてしまうことは考えられるが、この話の腑に落ちない点は、冷静な分析を随分後になって披露する所。
ヒロインが誤解を受けた一件一件に、自分の推論で、あれは自分の考え違いだったと導き出すなら、実は早期に判断はついたはずで、時間をかけて確信するなんて少し違和感。これは、頭いい設定を先に置いたのか、それとも、自ら誤解と悟る人物を登場させたかったのか?
何かといちいち狙った様なタイミングでヒロインを痛めつけるのが、偶然というのが嘘っぽくみえるエピソードの積み上げ方。
驚きのフットワークと行動力にも、劇的効果を狙った作為を感じてしまう。
損害賠償のくだり、日本の芸能界での不祥事による番組降板事件にかかる巨額の請求額で昨今世間の耳目を集めたゴシップを思い出した。また、その賠償額を予めちらつかせて、所属タレントが結婚を断念するように仕向ける、とも聞く。
ヒロインがこれまで築き上げた地位も、そこまで収入激落ちするものなのか疑問。ヒロインのピンチ作りの一環としか見えなかった。
リン・グレアム/JET「邪悪な天使」と原題酷似。
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