BLは価格が高め。比較もなんだけれども、クオリティが大きくバラつくHQからしても、BLは価格2割増し、大抵600円以上。エッチばかりのもそうでもないのも十把一絡げにひとジャンルで。それを否定するわけではないが、本作品はレンタル100円と大変
安くて、ホントにそんな値段でいいの?、と思うほど詰め合わせいろいろ。バラエティーの豊かさからこの本の内容を一言で説明しにくい。外国軍人物は少し読んでいるが、日本は初めて。なかなか面白かった。
美しいとか、ドッキリするとか、そういうところで勝負してくる話ではない。
いいイメージを一切持っていなかった日本の軍人物を、こう描いてくるなんて、よくやってくれた、と複雑な読後感と、作者の制作意欲の高さ?に感心。
士官学校を描いていて、その時代にそこに居合わせていたかのような、ある意味妙に豊富な情報量と、ニッチな世界に特異なフォーカスの仕方してビックリするほど迷い込んじゃったみたいな語り口。この機会によって読まなければまず見ることはなかったであろう世界を、ちょっとだけ見た感じにさせられる。その、自分にとって必要じゃない詳しさが、読んでる自分に向かって何を見に行ってるんだ、という、変な覗き見趣味的な妖しい興味を抱かせ、一方で、真面目になったり笑ったりと、様々な材料がその舞台の人物の背景を作ってくれて、いつの間にか厚みを感じてる。
BLのレビューを、余り書かない(というか、書きたくない)が、たまたまレビューアーさんたちの恐ろしい数のBLレビューの中で、本作は特に興味を掻き立てられ、実際読んで自分もレビューを入れたくなってしまった。
時代がかったストーリーはそれらしく描くのにそれだけエネルギーが要る筈だし、そもそもフィクションはこちら読者をどれだけ敷いた設定にドラマを乗せられるか、と思うのだが、作り込みが不思議に嵌まっていたのが不思議。
追記:2021/4「白の無言」 読了後一言。壮絶な桐島の人生。美しく散らした男の一生。彼に気持ちを寄せた高橋の衝撃はいかばかりか。これ本当にフィクション?と思う程、当時の時局の中での軍靴の存在や、細部や背景の時代考証の徹底による描写で浮き上がってくる登場人物のリアリティーが、あった。辛い話だ。大竹先生の物凄さは実感できる作品だったが、作品から受けたやりきれなさの方が勝る。
BLという言い方はダメだそうだ。レビュータイトルからは外した。
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