振り回されまくったヒロイン、彼が全てを動かした。彼女の心は支配されていた。当人がいうようにまさに天と地を行ったり来たり。人を好きになると相手の言動に一喜一憂するのは、誰でも何処でも同じ。ただ、英語が通じ易いとはいえ、ヒロインには異国だった。
英国とオランダの特別な仲を考えても、この原作者先生はいつもこの組み合わせで、しかも心の内が掴み所のないオランダ人医師ばかり。 HQが外から見ると同じようなものばかりと思われるジャンルなのに、更に輪をかけて似ているのが、何とも拘りの、それこそ頑固さを思わせる。
彼女の心の動きを掬い取ってよく描写されても、彼の心の内ははっきりさせないことが、これまで同一原作者先生では多い(ほぼそればっかり)と思ったが、本作は早期に彼サイドの心境を見せる。それは、彼自身自分が整理できていない、という宙ぶらりんさを読み手に納得させる置き石のよう。
ボリーとヒロインの関係性、うら若きヒロインと結構なおじさんとの使用被使用の組み合わせが、どこか現代性を度外視した物語っぽさに感じて、面白いというか、不思議な味わいを添えている。
岸田先生の絵は子どもじみていないから、読んでいる物語世界の中に、信じられる空気を受け取れるのが大きい。彼がオランダ人に見えないことはないし。
はっきりしない、はっきり出来なかった男がやっと伝える、もうこればっかりのワンパターン的枠組みで、男性が素直になった姿に酔える人なら楽しめる作品かと。
英国もオランダも日本人嫌いの人が割と居て余り愉快でないことに遭遇した経験から、私は正直これまでこの組合せに、そこまで共感を覚えて来なかった。いまも、冷めたものは持ち合わせてはいるのだが、このストーリーで彼が打ち明けてきた告白の中に、ヒロインが意地悪のように受け止めてきた仕打ちに対しても、一種の懺悔(大袈裟かも。その行為に伴ってた心情の吐露)があったことで、少し、私自身が彼らの中に感じ取っていた冷たさをも、そうとばかりではなかったかも、と動かされた。
岸田先生の描き方が序盤目が黒々で慣れない内にその手法がなくなった。彼の表情の乏しさは役どころとして、他は当初得たいの知れぬかんじがしたものだ。
ダンス場面も HQ仕様で揃ってる。
パリピー僅少のヒロインが多いため、分かるが多すぎて時々煩わしい。
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