初読み作家さんです。うわぁ、これはいい。じわじわ来る。順平が心を歩み寄せる度に、鬼塚の頑な心がゆっくりと開放されていく過程が、とても丁寧に描かれていて、読み手の緊張も解けていきそうです。コワモテで誤解を生み、あらぬ噂に振り回され、一匹狼だっ
た鬼塚。大学デビューで変わろうとした健気さが可愛い。そうなんです。鬼塚って可愛いんですよね。素を出す相手が居なかっただけで、ほんとはいい子。順平の人なつこさが、閉じた心を開き、素直になれる。壁を取っ払い、素を見せる事が出来る相手がいるって楽ですよね。順平もまた、鬼塚のいろんな面を見る事が嬉しい。その優越感は、友達第1号のものだったのが、違う感情に気づき始めて…この友情から恋心に変わっていく戸惑いとか、罪悪感が絶妙に表現されていて、ちょっと切なくなります。鬼塚にしても離れようとする順平の態度に、戸惑いますよね…このモダモダ感が恋ですね〜。いいですね〜。
鬼塚も大事な存在を失わないように動き出し、止まった恋が動き出す。くぅ〜。青春て感じにキュンとします。まだ始まったばかりの二人。この先もまだまだ見たい気がします。
後半に描かれた暴力はいけない事だけど、彼の正義と強さと優しさは間違いではなかったですね。あの時、助けた事がホームレスだった人の人生も変えたにちがいない。
ふぅ、いいお話でした。ほんとにじわじわと沁みわたる優しい物語です。
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