このレビューはネタバレを含みます▼
━━仇である男に自分の種を宿し、孕むことがあってはならない相手の子を身に宿す。
それなんって魅力的な響き!!と勢いよく読みだし、大人の力(課金)で一気読みしてしまいました。
ストーリーはペセルス家の当主でありアルファであるテオが神託により家門を継ぐ子を産まなければならないところからです。なんてご無体な〜でもオメガバースにとっては祝福なのですありがとうございます。
この世界では子を産めぬアルファでも「シーラ」という薬でオメガのように一時的に子が産める「スミルナ」という身体になり、スミルナに子を宿すための相手「カプリ」とえっちすることによって子を成せます。
そしてあろうことかテオがスミルナとして受け入れたカプリはなんとペセルス家の敵であり捕虜として捕えていたはずの革命軍の団長スレム・マリタであった。そんなふたりにとっては事故のような行為でテオはスレムの子をちゃんと身籠ります。
で、ここからテオとセス(テオがスレムに与えた名前)のふたりの子を守るための奮闘記+バース作品の独壇場であるふたりの関係性が生む絆描写+エッチが展開されていくのです。
途中何度も(妊娠中そんな激しくえっちする?大丈夫??…あ、大丈夫だわこれ)って思うシーンが多くていい。実にいいです。さらにふたりがテオの腹のことをずっと「お腹」と言うのがめっちゃ微笑ましく可愛い。優しく「お腹の子」を愛おしむようです〜翻訳の力かもしれませんが(笑)。
途中出てくる敵味方キャラ達も美形揃いで濃く大変素晴らしい。う〜わコイツ!!っていう超憎たらしい当て馬がテオにとんでもなく強い執着を持っていてたまりません。そんでもってセスが暴走すると実は……だったり、そもそもふたりは相反する敵同士であったり。そんなたくさんの障害があっても結局結ばれるふたりには逃れようのない「運命の力」が働いていたんだなって思いました。少しずつ歩み寄り愛を与え合うことで距離が縮まる姿に癒されます。愛を持ちより子を成すことが性行為の順番として妥当だとしても「運命の相手」とならばたとえそれが逆でも「運命の道筋」になるんだなぁ。ふたりの幸せな姿にこちらも幸せな気分になりますよ。クライマックスは感涙しかない。
絵も美麗で肉体美であり、官能的でストーリーとマッチしていて素晴らしいです。大満足の作品です。バース作品に興味があったらぜひおすすめします。