「俺のこと満たして。溢(あふ)れても、やめないで――」子供の頃から水を操る力を持った“原 海人(ばる かいと)”は自身が生みだす水泡の中に同じ男の幻を見る。それは、民族衣装を身にまとった長髪の逞しい男で、川のほとりで微笑みを向けていた。ある日、原の通うバーに幻と同じ顔をした男が現れる。”水戸(みと)”と名乗り、挑発的に笑うその男と惹かれ合うように身体を重ねた瞬間、原の全身に”ヴァルナ”という水を司る神の記憶が流れ込んできた。しかし、情熱的に身体を求め合う二人は、これから来る運命の重さをまだ知らない――…