まだ、人と異形の境が曖昧だった頃。
仙境に生きる仙女・ゆうゆうは、眷属の小鬼と共に静かな日々を送っていた。
ある日、人間の赤子を拾い、“アヤ”と名付ける。
やがて青年となったアヤは、ゆうゆうに恋心を抱く。
日々変わりゆく自分とは違い、あの頃と変わらぬ姿で微笑む彼女。
――それは、必然のことだった。
「ふふ……まだ子どもだと思っていたのに」
そして、劣情を抱くこともまた――必然だった。
しかし、永遠を生きる仙女と儚き人の子。
決して交わるはずのない、ふたつの想い。
ゆうゆうの隣に立つため、仙人になりたいと願うアヤ。
その純粋な願いの行く先は――
やがて、ひとつの決断がすべてを変える。