宗真先生の描かれる男性が、美しくて色香があるので手に取った。男性に限らず絵全般が美しい先生だとハーレクインコミックで知ってて。外国感、時代っぽさも当然しっかり。
BLコミックで絵の上手い先生は実に大勢お見かけするが、なぜTLやレディス(大
人向け)は愕然とするほど見かけないのだろう。漫画における絵というのは、挿し絵やイラストの様な補助役でなく、大きい存在と思っている。
この本は、短編のそれぞれがどこかで別の短編のカップルのいずれかか両方に関係がある、なんとも狭い中で成り立つ。全部お約束のように定型化したかのベッドシーンがあり、生々しさは比較的少なめだが、あるにはある。宗真先生の描かれる男性が暗さの少ない艶かさを発散するので、ストーリーは大したことがなくても絵として眺めて、二人が結ばれる経緯を見届ける。それだけでおしまい。恐らく誌面掲載時に与えられた頁数には制約があったのだろう。描けることは限られてくる。その中での絡み場面はお約束事だったのかもしれない。いわゆる“ガッツリ”とまでではないのでストーリーをサラッと(あくまでも淡く)楽しめる。
本当はベッドシーンの多いBLのレビューはしないでいたいが、本作の他、単発で分かれて販売している作品群が、別に単行本化しているのを同時に読了したことも、此処で一緒に備忘の為に、一旦書き留めておきたくて。「限定で恋をしよう」「限界まで恋をしよう」「守ってあげたい」「秘密のキス、して」「見つめてたい」「コンビニで会いましょう」「いじめたいほど愛してる」が、「限定で恋をしよう」163頁に収録されてる。コマだけひとこまひとこま見せるやり方が好みではないため、そっちは単行本化で頁毎になっているので読むことにした。親しみやすい画風だったがどこか模索感初期感もある。
一方、本書はちょっと耽美がかっていて、雰囲気が統一されている。ハーレクインでヒストリカルのジャンルが、こっちでは女性ではなく男性に置き換わったよう。女性のように「可愛い」ルックスのキャラが登場するのが多めなのは、気になるところ。
クロニック・ラブ〜追憶〜(2006/7)、戯れに愛して(2006/8)、真夜中の秘め事(2007/1)、可愛い嘘つき(2007/7)、光の行方(2007/11)、恋人たちの宴(書き下ろし)・あとがき(2009/1)以上180頁。
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