特徴のある平べったさの少ないカラー絵を描かれて、彩色されたコマで魅力を放つアリスン先生。色気のあるシーンに引き込まれるが、このストーリー、ご都合主義で出来ており、その分ハッピー総量も3倍増だが、感動の深さのほうは相殺される。
前半の展
開はいいテンポで互いの気持ちの高揚が読み手のこちらに分けてもらえる感じで楽しい。これ以上はまずい、引き返さないと、と互いに求めあう気持ちが盛り上がってセーブが大変、というシーンは良かった。雪に閉じ込められたその数日間が忘れられない。その感じをずっと私も引きずって味わっていたかった。
ヒロインのコンプレックスは、余り前面に出てこないで専ら過去形。彼の運動選手のようだという体形は何となくわかるが、社交界の描写と別荘の内部の描写、また、ヘンリーとの関係が現代的過ぎて、傷物云々の話と微妙にしっくり来なかった。
彼の婚約云々の報が電撃的に飛び込んできてから、それまでと打って変わってストーリーにスピードが生じ、急ハンドルを切ってなかなかの変化ぶりを見せる展開。
後半の方に詰まった要素が物語前半のヒロインと後半の彼女をどうしても同一視しにくいキャラ変と感じる。絵は同じなのだがー。
それにしても、彼が終始この話の方向性を主導していた。
人々の評判がプレイボーイのような感じだったが、女性関係問わず、やり手というタイプ。
親友の、君にはプロポーズしなかったのに婚約者にはしたってことさ、という場面のヒロインの心境が胸に痛い。
勇気が無くて、という人間なら誰しも持つよくわかる心情でなかなか踏み出せずにいたヒロインの背中を押す事件は、「え!?」だけれど、本当の気持ちはきっかけがないと出ないから彼ならずともニヤとするシーン。
他のレビューアーさんのコメントに触れられている、作品中散見されるギャグについて。
私には受け入れられない崩しかただった。
50頁ちょっとの間に三回も「処女」をヒロインがモノローグとしてであろうと口にしているのはこの作品のクオリティを微妙なものにしていると思う。
このため、星は4.5だと思って欲しい。
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