3巻構成が信じられないほど、中身は濃かった。
「君に届け」の吉田を思い出してしまう。
だがストーリーは似ておらず、特にタラちゃんというキーパーソンが話を意外な展開に持っていく。
峰の使い方がトリッキーなのも、読み手として面白いように転
がされた。
絵の好き嫌いで入り口で決めつけては勿体ない。
団地、一軒家、飲み屋、食堂、キャンパスと、場所がいろいろ変わるのがうるさくなく、それでいて、その場面場面の変化がストーリーのアクセント付けになっていて、唐突感もない。
苦労した人たちが多数登場し、背後のこれまでの大変さが透けるような気がするが、不幸を招いた犯人捜しをしておらず、不思議とその試練を脇において、誰もがそれを過ごして先に進んでいく、静かな踏ん張りを見せてくれる。
もっとみる▼