198ページ。
表題作(学園もの)に加えて、「クロニック」(吸血鬼もの)「春への扉(前後編)」(タイムリープもの)を収録した作品集。大切な美しいものを型板ガラスでできた宝石箱に入れて眺める感覚で、かなり好き。特に巻頭の「クロニック」は、子
供と大人、現実とファンタジー、みだらと純情の間でゆらめいている感じが秀逸で、かつ終わり方も定石にピタッとはまっていて読後感が良かった。
「春への扉」はタイトルからしてSFでタイムリープ。設定とストーリー的に仕方ないのはわかるけど、お父さんもうちっとどうにかならなかったのかという気分にはなる。一瞬の輝きと永遠の喪失、ラストのここにあるのにどこにもない、という絶望感が美しい。
表題作は、先輩の過去ははっきり示されていないけれどだからこそあやうさが際立つし、クライマックスの威力がすごかった。それでも触れ合ったことで希望を手に入れられたという話だと思うので、タイトルの付け方が良いなぁ、と。
「クロニック」が星5、あとは星4です。
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