日本だと尊属殺人は一層重罪。命に差を付ける前提がそこにあるのが、このような話を考えると合理性の無いことだと強く思う。カルもダニエルも間違ったことはしていない。親だから子を軽んじていいなんて決してない。子の価値が親の価値より低いことなんてない
。どちらも等しく命だ。そして、親が子に何をしてもいいくらいの何でもアリのサイテーの親、人間として極めて質の低い父親の荒くれを、本作は綺麗事で済まさなかった。銃保有正当化など唱えるつもりはないが、正当防衛というのはもっとしっかり認識されるべきことだと思う。
この作品の中で、ヒロインは肝が据わっていく。もともと意思の強い人間だが、犯罪者も同然の悪い奴を前に、守りたい者達の為に立ちはだかるときの強さは、驚きの行動に繋がっていく。
ヒロインの彼への行動力も大胆で逞しい。躊躇する彼へ自ら迫るシーン、がんばるなぁと思う。私はHQの中に、男性にばかりあれこれ求める依存願望が強かったり、男性サイドにはダメンズを配し、女性が被害者であるとの構図が多いのが余り好ましく思えない。受け身だけでなく、自分の気持ちに素直にぶつかるヒロインは私の理想を行ってくれてる。
心配していた虐げられてきた子供達二人も今後幸せになることが見届けられ、読み終わったらホッとした。
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