3作品収録。1978年12月が単行本として初版だったらしいが、神奈先生は76年主要読者層が少女の雑誌から発表の場を大人女性向け媒体へ少しずつシフトしていったそうで、本書は少女向けとしてはもう終わり近い時期となるのか? それにしては脂の乗った
少女漫画と思わせる、巧みな年頃の感情描写に、当時の絵柄としてど真ん中の作風を感じる。何気ないコマにも表情をチラリ差し込んでナチュラルにストーリーが進む。ドロッとしてなくてよい。そして男性キャラが、読者の支持を獲得しやすいビジュアルと爽やかさや、或いは、思わせぶりな「陰」で好奇心を誘う。登場人物達の服装もダサくない。
要は、全ての要素に於いて一定の高水準をキープした作品を、次々世に放つ作家の一人としてキラリと存在感があった。
甘さだけでなく苦みや哀しみ苦しみもあり、気持ちを通わせ合う(又は察し合う)男女の絵は、恋愛の意義そのものに夢を持ちたい読み手には、それぞれが各作品のいいところとして、可愛く咲いた花みたいに受け取れるかと思う。
「星のレクイエム」99頁、「ポリネシアン・サマー」50頁、「グリーングラスの夢」50頁。
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