これだから悲しい要素予感する話(ハピエンです)を読むのはしり込みしてしまう。粗筋紹介文で判っていたことだったし、1頁目から重さは出してきてる。それでも主人公果林の明るさ元気のよさに励まされて読み進める。養育者が仏達なのだ。
人の死がス
トーリーに扱われるのは、正直辛すぎるし、それを扱うこと自体既にドラマは始まっているから、作り手がラクしてるようにも思う。
この頃、映画もTVドラマも余命僅かの病気などを取り上げて、涙を誘う話が多くて閉口する。
案の定、泣かされっ放しで胸がギュウギュウ締め付けられ、これはきっと明日の朝は目が腫れているんだろうと思うと、正直読んで良かったのかという気にもなってくる。
しかし、あざといお涙頂戴というほどにいやらしくは展開せず、心の動きの描写に唐突感なし。
ただ、果林の不幸度を高めて、よりドラマチックにひかちゃんとの日々を描写するところは、盛り上げの計算をどことなく感じはした。捨て猫を拾って育てる、というのはホントにありふれて用いられる材料なので、これには安易さを思わないわけにはいかない。現実そこまで街角で捨て猫は居るものでない。
動物を巡る、余りに使い尽くされてきたエピソードを工夫、作品の陳腐化リスクが隣り合わせにあるのにそれでも、果林とをダブらせる趣旨の構造としたのは巧みだと感じた。
ひかちゃんの両親の親戚筋、徹底した悪者役をちゃんとこなしてくれて、悪役の憎らしさを増やして、話の味付けを引き立てている。果林の受ける仕打ちのむごさで、一層辛い立場へとことん追い詰め、読み手は彼女の薄幸ぶりに益々泣かされる、という作り。
一歩間違えば、これでもかこれでもかのお涙頂戴ではあるが、ここでもまた、元舅元姑との安らぎ場を用意して、より哀しみの新局面へと、読者を連れ出す。
そのため、後に扱われる新盆がこれまた身近な人を亡くす辛さを追体験させられ、泣かされる。
ただ、本当にその辺のところがよくでている。
身近な人が亡くなった人にはキツイ場面満載なので、経験者は、自信がないなら読まない方がいい。
もっとも、それだからこそ、残っている人間の日々を、ささやかな日常を紡いで生き続けなければならない者の一歩一歩が、伝わってくる。
心温まるシーン、ジーンとしみる所もあって、読み始めたが最後、一気に止まらなかった。命を考えない訳には行かない。
4巻構成。
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