文章がもたもたせずスッキリ進むので読みやすく、だからといって薄いわけでもない。
大いに語っているし、情景はすごく伝わる。
多分字数が、意識的にもたれのない程度に収められ、話の進行にカラリとしたリズムを与え、私には頁の進みのテンポが、ピッ
タリだった。
セクシャルなシーンを多く作っているわりに、私にはスポーツ中継のように、どこか客観的描写、視覚的表現に偏っていた気がした。少々ウェットさが物足りなかった。エッチに二人が夢中になればなるほど、読み手の私はどこか白け始めていた。
いやらしさがあるのかどうか、ではなく、その類の描写に空気を感じずそそられなかったのである。
男性を知らない設定に受け止め辛く、いろいろとヒロインが唐突で直情径行、無茶というより少し暴走気味で、浅ましさすら覚えてしまった。それなのに、一線を越える越えない辺りから物語の停滞とまわりくどさが目につき始め、そんなシーンに頁の多くが割かれ、長期化決定しながら終了時を伝えられていない連続物の作品を読んでる気分にさせられた。
兄たち登場の王宮のシーンもドラマを感じ取れないし、その妻たちというのも人が見えてこない。(揃ってアメリカ人妻、というのには笑った。 )
結婚式シーンは、蛇足。そこは読むのが面倒臭かった。ハーレクイン読者の中には、その後の二人を見たいという声が(私がメインに読んでいるコミックス)結構あるのは承知しているが、私に言わせれば、腹八分目の幕引き加減こそがドラマの余韻を決定づける。
兄を探してワイオミングくんだりまで 冒険した割に、拍子抜けも。
期間限定のつかの間だと思ったから二人は燃えた、ってことも、このシチュエーションならあるのではないかと思う。そこをお約束のハピエンに仕立てるのは、プリンセスにも幸せになる権利がある、と言っているようでそれは勿論いいのだが、ヒロインがプリンセス故の「普通」っぽい生活してみたら、恋のお相手も、との設定には、単なる異文化体験もので終わらせない、日常への強い魅力を感じさせている場面を、また、彼が王族と結婚する立場の何らかをより認識するシーンがないと、終盤は何かが不足している気がしてしまう。
そもそも国外に偽造パスポートで脱出というところからして、どうも私にはいただけないストーリーなのだが。
もっとみる▼