鬼才・楠田文人が描く、どこかおかしくて、ちょっと不思議な世界へようこそ。15分間の現実逃避をお楽しみください。 田舎に帰るため、夜行列車に乗っていた私は、向かいの席に座った老人に「面白い物を見せてあげましょう」と誘われ、途中下車して老人の家に立ち寄ることにした。 無人駅で降りてしばらく歩くと、立派な旅館が見えてきた。老人がその建物に入っていく。なんとその老人は、大きな旅館の主だったのだ。 旅館に泊めてもらうことになった私は、露天風呂に向かう途中、崖で何か動くものを見つけた。モグラかと思ったが、それはこの土地でしか見られない珍しい生き物、「土魚」だった。