「カモフラージュの達人」としてのスゴ技、
「海の霊長類」たる知性
あなたはまだ本当のイカの姿を知らない。
「海の霊長類」にして「カモフラージュの達人」の異名を持つイカ。
体の色を瞬時に変え、見たものの質感を体表に表し、
きらびやかな光沢で魅了する。
それだけではない。
物の形や他者の行動から学習する能力、
ぐっと我慢する自制心もあるのだという。
本書では、そんなイカの生涯、感覚、知性、色彩など、
最新の研究をもとに徹底解説しながら、
人とイカの関係の未来を見据える。
あなたはまだ本当のイカの姿を知らない。
『タコは海のスーパーインテリジェンス』に続く、
池田流頭足類学第2弾!
●本文より
北海道で生きたイカを見た私は衝撃を受けた。イカは実に艶やかな体色をしているのだ。
それは日本で漁獲量がもっとも多いスルメイカだった。
全体がやや赤みがかった茶色で、背側に黒い太めの線がくっきりと入っている。
また、見る角度によっては体全体が黄金色にキラリと輝いて見える。
鮮度が良いイカというのはこのようなものをいう。
そんなスルメイカの体色は茶色のままで終わらない。
ある瞬間にはバッと透明になってしまうのだ。
イカは変幻自在に体の色を変える、動物界でも稀に見る色彩の使い手である。
体全体が茶色か透明かという明暗だけではない。
縞、斑点、スポットなど、さまざまな模様をイカは体表に出すことができる。
自身の体をキャンバスとして、次々に多彩な絵を描いていくアーティスト。
それがイカである。
●目次
第1章 駆け抜ける生涯
生き物を分ける
イカの体
イカの戸籍
イカの赤ちゃん
移動するイカ
何歳まで生きるか
子孫を残す
第2章 豊かな感覚世界
単レンズ眼と巨大脳
全色盲と色覚
偏光を見る眼
眼以外の光受容
両眼立体視するイカ
音を聴くイカ
第3章 高度な学習と記憶
獲れない餌
光の特性を学ぶイカ
物の形を学ぶイカ
馴れを学ぶイカ
「このときはこうする」を学ぶイカ
イカに自制心はあるか?
イカにエピソード記憶はあるか
一口には語れないイカの学習
イカの社会学習
ボディパターンは学習されるか
決まった型の行動
第4章 変幻自在の振る舞い
姿を現した海の大王
多彩なイカの体色
煌めきを醸し出す反射性細胞
体色変化の役割
ダイオウイカについて考える
群れをつくるイカ
表層にくるダイオウイカ?
煌々を身にまとう
スルメイカでダイオウイカの謎を調べる
ダイオウイカがキラキラ光るわけ
浅海でのダイオウイカ集団?
ダイオウイカ浅海生息説の補足
第5章 色と光の多様な戦略
ミミイカが光るわけ
体色パターンにも種間変異がある
もう一つの体色パターン
イカは暗闇でもカモフラージュするのか
カモフラージュの発現機構
ボディパターンの発達
ボディパターン発現の経験依存性と遺伝依存性
シグナルとしてのボディパターン
繁殖をめぐる攻防
女装するイカ
噓をつくイカ
第6章 イカの命をつなぐ
イカを養殖する
まぼろしのウナギ
動物福祉とイカ
減りつつあるイカとイカの未来