現代ファンタジーに近いと思います。祖母から引き継いだ着物や帯にまつわる、人々の思いを紐解いてゆく主人公。
この主人公もぼんやりしている様でいて、ただの凡庸な子ではありません。かと言って、「心優しい女子高生」と、乙女ゲーの主人公みたいなご都
合主義の嫌味も感じません。
また木々の色味や景色の描写がとても丁寧で、布地に至っては肌触りまで感じる様です。短編集なのに、一冊読み終える事に映画を見終わった様な心持ちになり、最終的には一気買いしてました。
舞台が京都、アイテムが着物や帯である為もあり、身分差別や男女差別など、さらりと書いてある事情にもはっとさせられます。
古典の和歌や能、骨董、着物のつくりまで、これで気になって改めて勉強したくなりました。
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