西が入ると色彩溢れます。躍動感、疾走感、次何が飛び出すか想像つかない展開に夢中になれます。やっぱり『獣』シリーズ好き。前作から時が経ち、廉は26歳になり颯太とは7歳差。前作までに壮絶な人生を歩んできている廉。今作を読むほどに凄まじい過去を思
い返させられるけど、不思議と沈んだ気分にはならない。廉の言動が悲惨さを感じさせないから。人目を気にしなければならない立場もあるけど、一番は作者様も仰ってますが、死を恐れていないからでしょうか。廉の隣には必ず九堂がいる。分身の片割れ同士。そういうのをサッと見抜いて言葉にできる颯太は、読者にとっても心強い存在ですね。廉と九堂をわかってくれる人がいてくれて嬉しい。颯太にとっても、年の近い規格外の廉の存在はとても大きい。生い立ちも立場も違うけど、盲目的な愛を受けている者、内容は違えど闇を知っている者、似て非なる2人が今後も楽しみです。作中で次郎が、努力で埋めるには限界がある、と言った言葉が沁みました。年を重ねても、嗅覚や才覚というセンスが身につかなかった、元々持っていなかった者にとってはガツンとくる言葉。それでも、、と次郎の言葉は続くのですが、ハッと気付かせてもらえるのも読者の特権です。妖魔の廉を堪能してください!
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