他の人間とは違う、特殊な感覚を持つ主人公。それゆえに周囲の人間どころか、血の繋がった実の両親でさえ畏怖し、忌むべき者と言う眼でいつも見られています。そして低級の神々やあやかしの低度のちょっかいは、歳を追う毎に顕著に酷く荒々しい、主人公への執
着へと変わっていきます(そこに主人公の魂の秘密があるのですが)
そんなときに表れた神様の朔。主人公は幼すぎて忘れていたけど、朔はあの時の会話を心から嬉しく想い、覚えていた。
主人公は、あやかし達からどんなにひどい目に会っても、彼らの心の奥底に有る良い部分や善なる心をしっかり見ています、強く信じています。その健気さに、何度も泣きました。朔が、彼女を愛する理由、手放したくない他の者に奪われたくない強い思いが良く分かる程の純真な純粋な健気さです。
「 瀬を早み 岩にせかるる滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ 」
この百人一首を習ったときは、大自然の美しさ力強さを、愛する人を思う激しい情熱が掛けられていて、素敵な歌だなぁと感動したのですが、この歌はこの物語では、主人公と朔で2回、因縁ある他のキャラクター達で1回、強く想起させられます。
後書きにも有りましたが、鬼丸の過去も1つの物語として読んでみたいです。
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