この作家さんのファンで、特にソーニャ文庫の作品が好きなので、2023年現在、6作のソーニャ文庫のうち、5作を購入しました。アンソロジーの3作目の話を読んでから、この方のファンになったのですが、今のところ、「背徳の恋鎖」が一番怖くて気持ち悪く
て面白いと思っています。その背徳〜の舞台を日本の大正末期にしたのが、この作品かなと感じました。ヒロインの母の、怪談にもなりそうな最期のシーンは流石の描写で、それが毎夜の悪夢になっているのがヒロインを縛る十字架のようなものになっています。相手役の男性が他の方のレビューの通りにイライラして呆れるのですが、その罪の重ね方が終盤に分かり、姫様を唯一の拠り所にするしかなかった男としてのピュアさもなんとなく分かりました。いい加減認め合えばいいのに・・と思っていましたが、エンディングに進む大震災と、かなり吹っ切ったその後の二人の関係も、この作家さんならでは展開で納得でした。
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