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紀元前1000年頃、ゾロアスターが西アジアで創始し、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教に多大な影響を与えた世界最古の創唱宗教ゾロアスター教――その根本テキストが、今、生きた言葉でよみがえる! 壮大な神々への賛歌にして、宗教学・神話学・言語学や古代イランの歴史・文化に興味ある人は必読の、世界的大古典。
◆『アヴェスタ』とは
そのゾロアスター教の聖典が古代のイラン語であるアヴェスタ語によって書かれた『アヴェスタ』である。それは神々への賛歌・詩頌、祈?書、祭儀書など、多数のテキストから構成され、もともとは口伝で伝えられてきたものと考えられている。この中でもとくに重視されるのは「ガーサー」と呼ばれるゾロアスターの言葉で、古アヴェスタ語の韻文で書かれ、『アヴェスタ』の最古層に属している。
『アヴェスタ』全般の内容を概観すると、善神アフラ・マズダーと邪神アンラ・マニユの対立を軸とした二元論的宇宙観を基軸としていて、信仰者には善思・善語・善行の三つの徳の実践を求め、世界の終末には救世主が現れると説く。
アヴェスタ語は言語学的にはインド・ヨーロッパ語族のインド・イラン語派に属し、インドのヴェーダ語(サンスクリットの古形)と関係が深い。ヴェーダ語で書かれた古代インド(バラモン教)の聖典『リグ・ヴェーダ』は内容的にも『アヴェスタ』と類似点が多く、このことも古来注目されている。
◆本邦初の原典完訳
『アヴェスタ』の日本語訳についてはこれまでにも抄訳や英訳からの全訳は存在したが、アヴェスタ語原典からの全訳は本書『原典完訳 アヴェスタ』が初。訳者はイラン語学を専門とする野田恵剛氏で、詳細な訳注も付され、謎多き古代宗教の全貌を明らかにした画期的な書となっている。