あの夜、たしかに愛された気がした。
シングルマザーになるとも知らずに。セシリアは上司のルカに密かな恋心を抱いていたが、
彼のあまりの放蕩ぶりに退職を決めた。もう限界だった。
だが、ルカに辞意を告げた日の夜、サプライズが待っていた。
彼が豪華なネックレスをくれたのだ――誕生日プレゼントとして。
誰にも祝われることなく終わると寂しく思っていた彼女は、
ルカの心遣いに胸を打たれ、情熱の赴くまま彼に身を委ねた。
数週間後、彼女はもうひとつ、贈り物を受け取ったことを知る。
放蕩者の彼は、きっと父親になることなど望まない……。
セシリアは妊娠を誰にも告げぬまま、会社を去った。