と言うと京極堂シリーズを思い起こさせるが、作者は京極夏彦氏などの影響も受けて怪談の研究をして本も出版する研究者である。その深い造形に裏打ちされた学術的スタンスで主人公は怪異について解説する。
独特なのが米澤穂信氏が評価したように「ほぼ全て
が怪奇の闇に閉ざされる中、ほんのわずかに合理性の光が差し込む」という構造で、ホラー描写力もしっかりしている。三津田信三氏の影響があるかもしれない。また綾辻行人氏の作風のように密室トリックも読書を楽しませてくれた。また最後の作品で短編4作の全ての謎が解けるという大変読み応えのある作りになっている。
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