霊峰と呼ばれる山のすそ野、広がる草原にはいつだって風が吹く。
何もなく、ただ草原と、美しい川と、森がある。
そんな自然の恵みに満ち溢れていて長閑な田舎の、小さな村には歳の近い三人の仲の良い子どもたちがいた。
狩人の子どものタイニー。村長の子どものトール。雑貨屋の子どものソーリエ。
三人はいつも一緒で仲良しだった
……性別を得るまでは。
子どもは神の子で10歳を機に性別を得て大人になっていく。
今年10歳を迎えるタイニーはそれに対してあまり実感をしていなかった。
しかし、一足先に10歳を迎えたトールとソーリエを見て焦りを感じることになる。
『男』になったトールと『女』になったソーリエの距離の近さにモヤモヤするタイニーは、
ついに10歳の誕生日を迎え、決まった『男』という性別と自覚する気持ちに戸惑い
トールとソーリエと距離を取ってしまいーー。
そして、18歳になり再会したタイニーとトール。
ーー性別が後から決まるからこそ生まれる葛藤と感情の行方は。