「勇者を導く師匠ポジこそが至高!」
そんな思考を持ち、ファンタジー世界に転生した男は(いるかもわからない)勇者の師匠になるため、来る日も来る日も剣の腕を磨いていた。
数年後、彼はなんとか巨大なリスの魔物を倒せるようになった。――そう、なんとか。剣を極めるため血の滲むような努力を続けたにもかかわらず、始まりの村の魔物よりも弱いであろう雑魚の魔物しか倒せるようにならなかったのである。
彼は自身の才能に絶望し、そして思いついた。
「なんちゃって師匠になろう。勇者の原石を探し剣術を教えて、物語序盤のみの師匠ポジに収まろう。そして弟子が成長したら実は弱いとばれる前に逃げよう」と。計画は順調に進むかに思えた。
しかし、彼は知らなかったのだ。その世界の魔物が異常に強いことを。それこそ、彼以外に1人で魔物を倒せる剣士が誰もいないことを――。
自分が悦に入るためだけに斜め上の努力を続ける無自覚最強男が往く勘違い流浪譚、開幕!