シーニ伯爵家令嬢のナタリエは、幼い頃から絵を嗜み、貴族令嬢でありながら画家の道を歩もうとする、一風変わった令嬢だ。そして、隣の領地エルナンデス伯爵家の嫡男ディディエも、とある問題を持つ。それは、十人中十人が確実に振り返るほどの、類い稀な美貌の持ち主であるがゆえに、言い寄ってくる女性に辟易とし女嫌いとなったことだ。そんな二人は、問題を抱える者同士を引き合わせてみようと考えた親たちにより、子供の頃に出会った。ナタリエはディディエの輝かんばかりの美貌を絶賛。最初こそ嫌そうにしていたディディエだが、ナタリエの興味が「美」そのものにあり、決してディディエと恋仲になりたいと望むものではないと気付き、彼女への警戒心を解く。こうして二人は親交を持つことになった。ディディエはナタリエの専属モデルとなり、結婚適齢期となった今もその関係は変わらない。しかし、やがてディディエが結婚をすれば専属モデルは続かないだろうと考えたナタリエが、別のモデルを描くと決めた時から、ディディエの様子がおかしくなって……。