彼は、強すぎて失えなかった。
失えない自分が許せなかった――。
ネイサン・リーは特殊部隊のなかでも、飛び抜けて強い。
そんなネイサンが唯一気に食わないクレイ・ウォルマンは理知的で、なにもかもがネイサンと反対だった。
ある日、上層部から不可解な命令が下される。
突如現れた謎の島へ、秘密裏に上陸をし“調査”をすること。
謎の島に関わるうちに、ネイサンたちは上層部への猜疑心を膨らませていく。
なんのために戦うのか?
島での記憶が、傷ついた心を徐々に蝕んでいく。
見えない傷を癒やすかのように、ネイサンはクレイを求めた。
苦しみを、痛みを共有できるのは、もうお互いしかいない。
まだ失っていない――。
だから、まだやれる。
謎の島ヒュプノスを巡り、やがて世界が大きく動き始めた。