涙が宝石に変わるという体質のせいで、迫害された歴史をもつラハム一族。
族長の娘レイラは瞳の色が不吉だと言われ婚期を逃していたが、ようやく嫁ぎ先が決まり、幸せな結婚生活を夢見ていた。
そんな彼女は輿入れ前のある日、怪我を負った軍人サイードを助ける。
看病をする内、不器用ながらも誠実なサイードに心惹かれていくレイラ。
サイードも献身的なレイラに好意を滲ませ、ある夜二人は熱を交わす――。
けれどレイラを想うサイードは一夜の夢だと身を引き、レイラ自身も期限付きの叶わぬ恋だと想いを飲み込もうとした。
しかし、とある事情でレイラの縁談がなくなり、それを知ったサイードはレイラを本国に連れて帰ろうとする。
差し伸べられた手に未来を見るが、一族を捨てられず拒むレイラ。
すると、それまでの熱を捨てたサイードは「化け物がどんな夢を見られると思う」と冷たく言い放ちーー?
閉ざされた熱砂の姫と、傷を抱えた堅物将軍のすれ違いと衝突からはじまる物語。
【電子書籍限定書き下ろしSS付き】
「焼き切れる理性、再び」収録